ドローン飛行ログの書き方と記録項目
ドローン運用において、飛行ログ(飛行記録)の記録と保存は法的要件だけでなく、機体の安全管理と事業の信頼構築に欠かせない業務です。しかし「何を記録すべきか分からない」「続かない」という運用担当者は少なくありません。本記事では、紙や表計算で管理している方向けに、実務で続けやすい記録項目と記入のコツを紹介します。
1. ドローン飛行ログが必要な理由
国土交通省の航空法では、100g以上のドローンを飛行させた場合、飛行記録を保存することが義務付けられています。単なる記入義務ではなく、以下の3つの目的があります。
安全性の確保: 飛行ログを分析することで、操縦者の技量、機体の故障パターン、天候との関連性などを把握でき、事故防止に役立ちます。
規制対応: 許可飛行の実績記録として、申請時に飛行実績を証明する資料となります。レベル4飛行などの新しい運用形態では、過去の飛行データが必須要件となります。
責任追跡性: 事故が発生した場合、誰がいつどこでどの機体を操縦したのかを明確にし、原因究明と改善対策につなげられます。
国土交通省ガイドラインとの整合性
国土交通省 無人航空機ポータルサイトでは、飛行記録の記載項目や保存期間について詳細に定めています。最低3年間の保存が目安とされており、デジタル・紙双方での保存が認められています。
2. 飛行ログに記録すべき10の項目
飛行ログを効率的に管理するには、記録項目を最小限かつ必須なものに絞ることが続けるコツです。以下の10項目を基準に、自社の運用に合わせてカスタマイズしてください。
飛行日時(年月日・開始時刻・終了時刻)
飛行実績の証拠。特に許可飛行では許可条件との照合に使用
飛行場所(市区町村・施設名・座標)
DID地区の確認、禁止区域との照合に必須。座標記録で位置特定が容易に
機体型式・機体番号(シリアルナンバー)
複数機体を運用する場合、故障パターン把握に不可欠
操縦者名・資格レベル(一等/二等)
技量と飛行内容の関連性把握、事故責任追跡に必要
飛行内容(空撮/測量/点検など)
用途ごとのリスク分析、事業実績の蓄積に有効
飛行時間(実際の飛行時間・累積時間)
技量指標、メンテナンス周期の判定基準となる重要データ
天候(風速・視程・気温)
悪天候時の飛行リスク分析、季節パターンの把握に活用
飛行前点検結果(異常なし/要修理など)
機体の劣化傾向を早期発見。詳細は別紙チェックリスト参照
飛行中の異常(なし/警告表示/緊急着陸など)
未然防止につながる最重要項目。軽微でも記録することが原則
備考欄(トラブル内容・対応・改善案)
属人的な知見をナレッジ化し、チーム全体の技量向上に活用
3. 飛行ログを実務で続けるコツ
記録項目を設計しても、入力作業が負担になっては続きません。以下の工夫で運用を効率化しましょう。
飛行直後に記入する習慣をつける
記録は記憶が新しいうちに。特に「飛行中の異常」「天候の詳細」は時間が経つと曖昧になります。着陸直後の5分間で記入を完了するルール化がおすすめです。
フォーマット(テンプレート)を統一する
紙の様式票、Excelテンプレートなどをあらかじめ用意し、毎回同じ項目を入力させることで、後の集計・分析がしやすくなります。QRコード付きテンプレートを用いれば、スマートフォンでの入力も容易です。
定期的に飛行ログを集計・レビューする
月1回程度のレビュー会議で、記録内容を振り返ることで、パイロット間の技量差や機体の劣化傾向を可視化できます。「昨月の警告表示が今月も発生している」といった課題を早期発見し、改善対応へつなげます。
システム導入でさらに効率化する
紙や表計算での管理が難しい場合、ドローン運行管理システムの利用も検討してください。自動的に飛行時間を集計し、メンテナンス周期を警告したり、DID地区・夜間飛行を自動判定するツールもあります。クラウド保存により、複数ベースでの一元管理も可能です。
4. 飛行ログの保存形式と長期管理
国土交通省のガイドラインでは、飛行記録は最低3年間の保存が推奨されています。適切な保存形式と管理方法を選びましょう。
紙での保存: 小規模事業や紙ベースの運用の場合、飛行ログシートをファイリングして保管する方法が一般的です。原本性が高く、規制対応での信頼性も高いメリットがあります。一方、検索性が低く、複数施設での一元管理が難しい点が課題です。
Excelなどの表計算ソフト: 項目ごとの集計や検索が容易で、小〜中規模事業に向いています。ただし、ファイル管理(バージョン管理、백업)の手間が増える点に注意が必要です。
クラウドシステム: スマートフォンからの入力、自動集計、複数施設での共有などが実現でき、大規模事業や複数機体運用に適しています。セキュリティと定期백업が前提となります。
保存期間の数え方
3年間の保存は、飛行実施年度の翌々年度末までが目安です。例:2024年度に飛行した場合、2026年度末(2027年3月31日)まで保存を推奨
まとめ:飛行ログは安全と信頼の基盤
ドローンの飛行ログは、単なる報告書類ではなく、安全な運用と事業の継続性を支える重要な資産です。
記録すべき10項目をシンプルに絞り、飛行直後の記入ルール化から始めましょう。月1回の集計・レビューにより、機体の劣化傾向や操縦者の技量差が見える化され、改善対応がしやすくなります。
事業規模に応じて、紙・表計算・システムを選択することで、継続性を確保できます。正確かつ継続された飛行ログは、許可申請や規制対応での説得力を大幅に高め、事故発生時の責任追跡も迅速にできます。
この記事のまとめ
- ✓飛行ログは航空法で義務付けられ、安全管理・規制対応・責任追跡の3つの目的がある
- ✓記録すべき10項目は日時・場所・機体・操縦者・点検・異常に限定し、継続性を優先する
- ✓飛行直後の記入、定期的なレビューが続けるコツ。テンプレート統一で効率化できる
- ✓紙・表計算・クラウドシステムから、事業規模に合わせて保存形式を選択する
- ✓3年間の保存が推奨されており、将来の許可申請や事故対応の資料となる
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