ドローンの点検記録の書き方|日常点検記録・点検整備記録の記載事項と機体ごとの管理台帳
ドローンの点検記録は、飛行日誌のうちの日常点検記録と点検整備記録のことです。 この記事では、国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」の様式に沿って、それぞれに何を書くか、いつ書いて何を持ち歩くかを整理し、機体が増えたときの管理台帳の作り方まで解説します。
結論
- 特定飛行を行う場合、点検記録を含む飛行日誌を機体ごとに備えて記載する義務があります(航空法第132条の89)。
- 日常点検記録は飛行させる都度、点検整備記録は点検・修理・改造・整備をした都度に書きます。
- 飛行時は飛行日誌を携行します。点検整備記録は紙・電子にかかわらず全てを携行します。
- 記載と保管は、機体が登録されている間は続けます。様式の記載内容を網羅すればExcelやアプリでも構いません。
目次
1. 点検記録とは:飛行日誌の3つの記録
航空法第132条の89は、特定飛行を行う場合に飛行日誌を備えて記載することを求めています。取扱要領では、飛行日誌は次の3つからなり、機体ごとに備えるものとされています。
| 記録 | 何を書くか | いつ書くか |
|---|---|---|
| 飛行記録(様式1) | 飛行の実績 | 飛行させた都度 |
| 日常点検記録(様式2) | 飛行前点検などの日常点検の結果 | 飛行させる都度 |
| 点検整備記録(様式3) | 点検・修理・改造・整備の内容 | 定期的な点検整備や改造を行った都度。故障の原因調査や是正処置も記載 |
この記事は日常点検記録と点検整備記録を扱います。飛行記録の書き方はドローン飛行日誌の書き方をご覧ください。
2. 日常点検記録の書き方
日常点検記録には、冒頭に機体の概要(登録記号、型式認証・機体認証を受けている場合はその番号、設計製造者と製造番号など)をまとめて書き、点検のたびに次を記載します。
- 実施の年月日及び場所
- 実施者の氏名
- 点検項目ごとの日常点検の結果
- その他特記事項
取扱要領の様式2に載っている点検項目は次のとおりです。
| 点検項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 機体全般 | 機器の取り付け状態(ネジ、コネクタ、ケーブル等) |
| プロペラ | 外観、損傷、ゆがみ |
| フレーム | 外観、損傷、ゆがみ |
| 通信系統 | 機体と操縦装置の通信品質の健全性 |
| 推進系統 | モーター又は発動機の健全性 |
| 電源系統 | 機体及び操縦装置の電源の健全性 |
| 自動制御系統 | 飛行制御装置の健全性 |
| 操縦装置 | 外観、スティックの健全性、スイッチの健全性 |
| バッテリー、燃料 | バッテリーの充電状況、残燃料表示機能の健全性 |
設計製造者が日常点検の項目を指定している場合はそれに従い、製造者の指定様式がある場合は様式2の代わりに使えます。型式認証等を受けていない機体は、飛行マニュアルで定める日常点検表に従って点検します。空域や気象の確認まで含めた飛行前の確認は飛行前チェックリストにまとめています。
3. 点検整備記録の書き方
点検整備記録は、点検整備等を実施した人が記入します。冒頭に機体の概要をまとめ、点検・修理・改造・整備のたびに次を記載します。
- 実施の年月日及び場所
- 実施者の氏名
- 点検、修理、改造及び整備の内容(部品を交換した場合は交換部品名を含む)
- 実施の理由
- 最近の機体認証後の総飛行時間
- その他特記事項
設計製造者の指示による点検整備だけでなく、故障などの不具合に起因する故障探求・是正処置の作業も記載します。取扱要領では、前回の記録と区別しやすいよう上下を1行ずつ空けて記載し、空行に「〆」を書くとされています。点検の周期の決め方はメンテナンス周期と点検項目を参考にしてください。
4. 携行・保管・譲渡のルール
- 携行:飛行させるときは、飛行日誌を紙または電磁的記録で常時携行し、参照・提示できる状態にします。紙の場合、日常点検記録は直近の点検整備以降の分を携行します。点検整備記録は紙・電子にかかわらず全てを携行します。
- 保管:記載と保管は、機体が登録されている間は継続します。固定の保存年数ではありません。
- 電子化:様式1〜3の記載内容を網羅していれば、電磁的な記録・保管ができます。
- 譲渡・リース:使用者が変わる場合、日常点検記録と点検整備記録は紙または電磁的記録で、当事者間で確実に受け渡します。
5. 機体が増えたら管理台帳を作る
点検記録は機体ごとに分かれるため、機体が2台、3台と増えると「どの機体の登録がいつ切れるか」「次の点検はいつか」が見えにくくなります。そこで、全機体を1つの一覧にした管理台帳を作ります。法令上の書類ではなく、点検記録を探さなくても今の状態が分かるようにするための実務上の表です。
| 台帳の列 | 理由 |
|---|---|
| 登録記号・機体の名称・設計製造者・製造番号 | 点検記録の冒頭にまとめて書く「機体の概要」と同じ表記にそろえる |
| 型式認証書番号・機体認証の区分と番号 | 認証を受けた機体のみ。点検整備記録には最近の機体認証後の総飛行時間を書く |
| 機体登録日・有効期限 | 有効期間は3年。更新は満了日の1か月前から(無人航空機登録要領) |
| 直近の点検整備の日付と次回予定 | 周期は法令で一律に決まっていないため、取扱説明書や飛行マニュアルで決めた周期を書く |
| バッテリー(個体ごとの名前・使用回数) | 法令上の記載事項ではない実務上の管理。劣化した個体の使用を防ぐ |
機体登録とリモートIDの基本は機体登録制度の解説、買い増しで旧機が残るときの注意はDJI Lito X1の登録とリモートIDで紹介しています。
6. D-HUB+で点検と機体を管理する
D-HUB+(ディーハブプラス)では、点検の記録と機体の情報を1か所で管理できます。β版は全機能無料です。
- 飛行前・飛行後の点検:飛行計画ごとに、バッテリー、プロペラ、機体の状態、リモートIDなどの飛行前点検と、損傷の有無などの飛行後点検を記録できます。
- 点検・整備の記録:定期点検、消耗品交換、修理、ファームウェア更新を、機体ごとに日付つきで残せます。
- 機体の管理台帳:機体登録日を入れると、登録の有効期限の目安と残り日数が一覧に表示され、期限の60日前・30日前と期限切れにアプリ内でお知らせします(正式な期限は国土交通省の登録ポータルで確認してください)。バッテリーは1本ずつ使用回数を管理できます。
D-HUB+の記録を飛行日誌として使う場合は、取扱要領の様式の記載事項(実施場所・実施者・交換部品名など)がそろっているかを確認し、足りない項目はメモ欄に書き足してください。
登録から飛行ログまでの操作はD-HUB+の使い方で4ステップにまとめています。
無料で点検記録を始める7. よくある質問
ドローンの点検記録は義務ですか?
特定飛行を行う場合は義務です。航空法第132条の89により、特定飛行を行う場合は飛行日誌を備えて記載する必要があり、国土交通省の取扱要領では飛行日誌は飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の3つからなります。特定飛行に当たらない場合でも、取扱要領は同じ要領での記録を推奨しています。
日常点検記録はいつ書きますか?
取扱要領では、操縦者が無人航空機を飛行させる都度記載することとされています。設計製造者が日常点検の項目や様式を指定している場合は、それに従うことができます。
点検記録は飛行のときに持ち歩く必要がありますか?
必要です。飛行日誌は紙または電磁的記録で常時携行し、確認を求められたときに参照・提示できる状態にします。紙で管理する場合、日常点検記録は直近の点検整備以降の分を携行し、点検整備記録は紙・電子にかかわらず全ての記録を携行します。
点検記録はいつまで保管しますか?
取扱要領では、飛行日誌の記載と保管は、その無人航空機が登録されている間は継続するとされています。「3年」などの固定の保存年数ではありません。
Excelやアプリで付けてもよいですか?
よいです。取扱要領の様式1〜3の記載内容を網羅していることを前提に、電磁的な記録・保管ができます。
「機体管理台帳」は法律で決まった書類ですか?
いいえ。「機体管理台帳」という名称の書類を作る義務は、航空法にはありません。複数の機体の登録期限や点検の状況を一覧で把握するための、実務上の管理表です。
参照元・更新情報
- 国土交通省 無人航空機の飛行日誌の取扱要領(様式1〜3、記載事項、携行、保管、使用者変更時の受け渡し)
- 国土交通省 無人航空機登録ポータルサイト(登録義務、有効期間3年)
- 国土交通省 無人航空機登録要領(更新申請と新しい有効期間の起算)
最終確認日: 2026-10-20
関連記事
無料テンプレート
飛行前チェックリストをダウンロード
機体・空域・気象・運用体制・記録まで、現場で確認しやすい項目に整理しています。